会社を高い価格で譲渡するには

M&Aの売り手であるオーナー社長が、大切に育てた会社を高く評価をしてもらいたいと思うのは当然でしょう。高い価格で譲渡するには、高い価格を出してくれる買い手を見つけることが重要です。

では、どういった買い手が高い価格を提示してくれるのでしょうか。買い手は様々な理由によりM&Aによる買収機会を探索しています。そして譲渡される会社の事情は千差万別です。同じ会社は一つとしてありません。ですから、それぞれの会社にあわせて買い手探索の戦略を立案する必要があります。M&A仲介会社を利用する意義の一番はそれだと思います。

 

たとえば、鉄鋼品の2次卸会社が会社を譲渡するとしたら以下の買い手が考えられます。

仕入先の1次卸

②取引のない1次卸

③販売先が同じである同業の鉄鋼品の2次卸会社

④販売先が異なる同業の鉄鋼品の2次卸会社

⑤鉄鋼品の2次卸会社だが譲渡対象会社と取扱製品が異なる会社

⑥新規事業として買収したい会社

 

売り手であるオーナー社長としては①仕入先の1次卸がすぐに思い浮かぶでしょう。確かに、譲渡対象会社のことをよく知っており、商流もそのままですから、スムーズに事が運ぶかもしれません。しかし、一方で、買い手からするとこの買収話は魅力的な話でしょうか。1次卸と2次卸ではビジネスの規模が違います。1次卸は数千億円~数兆円の売上がありますが、2次卸は大きくても数十億円です。1次卸が末端のビジネスまで自ら行うことに対して積極的ではないことは明らかです。それでもやむを得ず買収する場合もあると思います。しかし、高い価格は出せないでしょう。彼らにとっては既存のビジネスの防衛に過ぎないためです。ですので、価格的なことを考えるのであれば、その他の候補先について広く可能性を検討していく必要がありますし、それがM&A仲介会社に相談する価値であると思います。