株主が分散している場合

オーナー社長が議決権100%保有されている場合は良いのですが、株主が小口に分散している場合のM&Aは難易度がグッとあがります。小口分散している理由は様々ですが、取引先が保有している、従業員が保有している、親族が保有している、などがあります。そして各株主間の関係性の良し悪し、各株主がM&Aに賛同してくれるか否か、など不確定要素がM&Aの成否に影響してくるのです。関係の悪い株主間の意志結集は簡単ではなく、個別に対応策を検討する必要がありますし、FAとしては依頼人を見極めないと何も進まずただ働きとなるリスクもあります。

買い手は原則として議決権100%の取得を希望します。なぜならば、議決権の割合によっては会社運営に支障をきたしますし、少数株主には配当を受ける権利があるためです。買い手はリスクを負ってM&Aの投資を行い、一生懸命経営改善を行うわけですから、その果実は買い手が独占したいのです。

議決権保有割合が2/3超あればスクイーズアウトの手続きにより少数株主からの強制買取が可能となります。ですので、まずは売主としては議決権2/3超を取得・とりまとめるべく動く必要があります。

売主がM&Aに際して株式を買い集める場合、買取価格に注意する必要があります。M&Aプロセス開始後に買い集める場合には、買い手への譲渡価格と買い集め価格を同じ価格にするほうが法的リスクが無く無難です。